現在、下記のような問題があちらこちらで起きています。
たとえば、会社を辞めた従業員が労働基準監督署に駆け込まれた、あるいは、
ある日突然内容証明郵便の文書が送られてきたために…
- 労働基準監督署から是正勧告を受けた
- 不当解雇と言われた
- 残業代を請求された(未払い残業代)
- 36協定を出していない
- 労働者名簿・給与台帳がない
- 労働時間が管理されていない
- 有給休暇を取らせていない
- 就業規則がない
上記のようなことがあった、また、今後ありそうな場合には、当事務所へお問合せ下さい。
お急ぎの方はもちろん、問題がおきないように防ぎたい方も一緒に対応策を考えていきましょう。
中小零細企業では、就業規則がないことが多いのですが、そのために起きてしまう問題とは?
就業規則は、従業員が常時10人以上雇用されている場合、作成して労働基準監督署に届け出る必要があります。では、従業員10人未満の会社は作成しなくても良いのでしょうか?
実は、就業規則がないために従業員もルールがわからず、問題が起きてしまっているケースも少なくないようです。たとえば、解雇についても、懲戒および解雇とされる理由を就業規則に定めておかない限り、解雇できないのです。
また、労働基準監督署の調査が入った場合も、まず就業規則や労働者名簿・給与台帳、タイムカードなどをチェックされます。それらに不備があれば、是正勧告を受けることになるのです。
問題が起きてからでは遅いです。
是非、就業規則を作成して、労働条件や服務規定がはっきりわかるようにしておくことが必要です。
最近、残業代を請求されるケースが増えています
労働相談・トラブルが年々増え続けているなかで、大手ファーストフードやその他の業種でも大問題になった、「未払い残業代」については今後も増えていくことになりそうです。実は、法律の専門家たちが目をつけ始め、今後、中小企業でも問題になることが予測されています。
なぜかと言いますと、
- 労働時間は、企業ごとの解釈に左右され、何らかの不備がある
- 賃金請求権の時効は2年であり、遡って請求すれば払ってもらえる
- 請求先は、企業または事業主であるため、回収できる可能性が高い
などという認識のうえで、請求してくるからです。
会社の従業員や退職者も、このことを知っている人が増えて、活用する人も増えているのが実情です。マスコミ等で取り上げられていますので、ご存知の方も多いと思います。
また、2010年4月に施行された改正労働基準法の影響もあります。
今回の改正では、月60時間を超えて時間外労働をさせた場合には、50%以上の割増賃金を支払わなければならず、未払い残業代の額が大きく膨らむことになるからです。
この取扱いは、中小企業には猶予措置が設けられていますが、猶予期間である3年を経過した後に、何も対策を立てていない企業に対して残業代を請求するという問題が待ち構えています。今後は、すべての企業を対象とする大きな問題へと発展していくものと考えられます。
※ なぜ残業代の未払いが起きているのか? ※
残業があるとわかっていて、残業代を払わない悪質なケースは除きますが、
以下の2点は、よくありがちです。
ⅰ.労働時間の把握ができていない
・1日8時間を超える部分は、割増賃金が発生する
・週40時間を超える部分は、割増賃金が発生する
労働時間が把握できていないため、残業も何時間あるのか把握できていません。
法定労働時間は、週40時間ですが、それを知らなかったり、達成できないケースが多々あります。
# 月の平均所定労働時間は決まっていますか?
# 時間外労働を把握していますか?
ⅱ.残業代の計算が間違っている
残業代を計算する際、まず単価を算出しますが、基本給だけでなく、プラスする手当とプラスしなくてよい手当の区別がつかないようです。
そのため、残業代を少なめに払っていることがあります。
# 残業代を計算する際に含める手当はどの手当?
# 割増しの計算も忘れずに行っていますか?
この2点が守られていないために、未払い額が発生しているケースが多いようです。
まずは
- 出勤簿を作って労働時間の管理をすること
- 残業代の計算方法を専門家にチェックさせること
から始めることをおすすめします。
未払い残業代を請求されるケースと対処法
労働者や退職者が会社に対して未払い残業代を請求してくる手段としては、
次のようなものがあげられます。
1.労働基準監督署による臨検
これが一番多いのではないでしょうか?
所轄の労働基準監督署に、労働者や退職者が、残業代が未払いであることを申告すると、それを受けた労働基準監督官が立入調査を実施します。その際、未払いとなっている残業代があれば支払い勧告を発します。
労働基準監督官は、「特別司法警察員としての権限」を保持していますので、隠ぺいや黙殺が続くと書類送検される恐れがありますので注意が必要です。
2.内容証明郵便
残業代の支払期日を指定した内容証明郵便で、文書が会社に送付されてくるものです。
今後、一部の弁護士や司法書士が未払い残業代の請求を代行する場合には、多発するものと考えられます。
まずは、記載された残業代の金額が正しいかどうかを精査して、会社側に問題がなければ、残業代の正当性を立証する必要があります。
3.労働審判
上記1、2で和解が成立しなかった場合は、労働審判制度への申立が可能です。
労働審判は、最長でも3回で結審します。早めの解決もできます。
審判員による和解案が提示され、最後は解決金というお金で解決するケースが多く見受けられます。
※ 労働審判の審判内容に不服がある場合は、訴訟へ移行することになります。
4.裁判(民事訴訟)
この場合、訴える金額によって裁判所が異なります。
(未払い残業代などの)金額が140万円未満の場合は、簡易裁判所となりますが、それを超える場合は地方裁判所 となります。
訴訟となると長期戦に及ぶことを覚悟しなければならず、時間と費用がかかるデメリットもあります。
未払い残業代の対策は
- 残業は業務命令で行うものと規定
- 定額の残業手当の活用
- 振替休日の活用
- 歩合給制の活用
- 変形労働時間制の活用
- みなし労働時間制の活用
など、いくつかありますが、自社に合った対策を選んで実施する必要があります。
また、残業代の計算のしかたを間違えている会社も意外と多いです。
専門家に依頼して、見直しが必要ではないでしょうか?
「名ばかり管理職」の問題
大手外食チェーンにおける未払い残業代請求事件では、「名ばかり管理職」のことも問題となりました。企業が認めた管理職が、労働基準法に定める「監督若しくは管理の地位にある者(管理監督者)」に該当するか否かで判断されますが、具体的に記載されていません。
行政通達では、管理監督者として認められるためには少なくとも以下の3点を具備する必要があるとされています。
- 経営者と一体的な立場としての職務権限が付与されていたか
- 出退勤に裁量の自由が認められていたか
- 管理監督者としてふさわしい待遇を受けていたか
となっていますが、管理監督者と認められるためのハードルはかなり高いものと認識しておいたほうがいいでしょう。中小零細企業の管理職は、それほど簡単に「管理監督者」として認められることはないと考えておいたほうが無難かもしれません。
管理職の労働時間の把握と時間外手当(残業代)については当事務所までお問合せ下さい。
就業規則の見直し
未払い残業代請求への対応に限らず、労使間でトラブルが生じた場合にその根拠となるのが就業規則や労働契約書などです。つまり、どのようなルールの下で労働者が雇用され、どのような方法で賃金が決定・支給されていたのかが問われます。
当事務所では、労働者や退職者から未払い残業代を請求されても、痛みを最小限にとどめるルール整備をご提案しています。
- 就業規則の内容について診断
- 未払い残業代を生じさせないためのご提案
- 雇用契約書や労働条件に落とし込み規定化
すでに労働基準監督署の臨検が行われて、是正勧告を受けた、あるいは、残業代を請求されたとか、問題が起きてしまった場合は、当事務所までお問合せ下さい。
問題が起きないよう、未然に防ぐため対策をたてたい方も、お問合せ下さい。